あぴすの雑記帳

某理系大学に通う自堕落大学生が日頃思っていることをあれこれ垂れ流すだけのほぼ自分用ブログです。

本を読んだよ:結婚滅亡

この前FACTFULNESSの話を誰かとした時に、本の内容ほとんど忘れてることに気づいたから、なんとなく本を読んだ記録でもつけたいなぁとか思っている

— 配偶者同好会会長 (@apissQX70) 2020年12月10日

 

ということで本を読んだ記録をつけはじめようと思います。

 

記念すべき1番目の本はこちらの「結婚滅亡」です。

 

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あらゆるデータから”結婚”が時代の変遷に伴ってどのように変容してきたのか。結婚がなぜ減っているのか、今後はどうなるのかということをまとめた本です。

 

結婚や交際のことについて非常に新鮮な視点を得ることができるような、とても良い本でした。

異性との交際経験が無い自分にとっては言い訳の材料にもなって最高です。

 

冗談はさておき、具体的な内容に触れない程度に(内容に触れすぎるとネタバレになってしまうので…)、いくつか良かった点や気になった点を書き記しておこうと思います。

 

結婚観の歴史

私がこの本の中で最も衝撃を受けたのが結婚や恋愛に対する考え方の時代ごとの変遷です。

私は家父長制だったり、「一人のパートナーと一生添い遂げる」などといった価値観は日本の伝統的なものだと思っていました。

しかし、この本によるとそれはかなり近代的な思想のようです。

具体的には明治に入ってからの価値観ということですので、ここ150年くらいということでしょうか?意外と最近ですよね。

  

制度の変容と結婚者数

親や祖父母から孫の顔が見たいというプレッシャーを受ける年齢になってきてしまいました。

しかし、なぜ上の世代の方々はそんなにみんながみんな結婚してたのでしょうか?

それは今とは全く社会環境が異なっていたからであり、決して恋愛に積極性があったからではない、というようなことが多角的に検討されていて面白かったです。

おっさんの武勇伝は要するにかなり美化されていたものだったことがわかってなんか安心しました。

  

全部システムが悪い

国家戦略として結婚の数が減っているのはシステムが悪いのだということが繰り返し書かれている印象でした。

原因を個人ではなくシステムに帰結させる考え方は個人的に非常に好きなので好感が持てました。

これはもちろん先述した「制度の変容と結婚者数」がその一つで、その他にもさまざまな証拠を色々提示しており、とても安心できる内容でした(?) 

まぁ彼女すらできないのは流石に自分がわr...

  

データが恣意的?

著者の方は非常に真剣にこの研究に取り組んでいる方なので(というか本を出しているくらい第一人者なので)、自分がとやかく言う立場ではないのですが、少し気になったところです。

この方は研究所で自身でアンケートなどを行うことで統計データを取り、本の中でそれについて触れつつ男女の結婚観などを浮き彫りにしていく手法をとっています。

このような人文的な分野は素人なのでわからないですが、心理学系の本を読むとよく、一つの実験に対して異なる条件を設定してみて、最初の実験を検証するようなことをよくやっているような気がします。

しかし、この本では一つのアンケートが非常に気持ちよく文章中に組み込まれ、それ以降それが本当かどうかの検証などはされていない様子で、ちょっとモヤッとしてしまいます。

(まぁそんな検証がこの本の趣旨ではないのは明白なのであえてカットしているだけだと思うのですが)

 

それにしても、日本は本当にこういう国家戦略的な大事なことに研究費を出さないですよね。

「学力の経済学」などでも触れられていますが、日本の統計資料やそれを使った国家戦略って割といい加減みたいですね。

統計は今後の指針を立てるのにとても重要ですし、こういう研究に予算がつくようにならないかなと願うばかりです。

 

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お気持ち文章がある

結婚に関する記述の際には統計を元にして話している印象でしたが、家族や安心というテーマのときにはあまり統計をベースに話していない印象でした。

どうしてもお気持ちなのでは?という箇所が散見され、そこは参考にならないなぁと感じています。

 

…と言ってもそのようなお気持ちの内容が書かれている箇所は少なかったです。全編通してお気持ちしか書かれていないような政治家が書いた「頭に来てもアホとは戦うな!」のような何の参考にもならない本とは大違いです。(まぁ自己啓発系の本が全般的に苦手というのもありますが)

 

また、「相関と因果関係は違う」と明記されているのはよかったのですが、因果関係なのかただの相関なのかを調べると言ったことは行われてなかったので、結局ただの相関かもしれない…とちょっと不安になるのも気になりました。

 

総括

今自分が置かれている状況や、親の世代が置かれていた状況を客観視できるようになり、そのような話題に関して寛容になれるような気がしてきました。

気になる点もいくつか挙げていますが、別にそこまで気になることでもないですし、全体としてはとても良い本だったなと思います。

 

評価 3/4

 

1...悪い 2...普通 3...良い 4...最高